農業とサラリーマンの違い
サラリーマンは分刻み秒刻みの過酷な世界です。給料はどれだけがんばっても一定です。しかも上司からしぼられ、営業では
顧客からもクレームが。時には部下からも突き上げが待っています。自分自身を100パーセント出せる場面も限られています。
また組織の中では自分の考えを周囲に理解してもらう努力も必要です。
反面定休日が決まっており、ボーナスも支給され、退職金のあるところもあります。
農業はどうでしょう?給料は、天候に非常に左右され易いです。サラリーマン時代の半分あるんでしょうかね??カミサン(笑)。
しかも退職金??ありません。ボーナス?ありません。定年もありません。
定休日にいたっては、私の場合特にありません。最近の農家では家族経営協定なるものが結ばれて定休日や労働時間を定め
ようとする動きがあります。
私は好きで働いているのでカミサンが許してくれる限り働きます。というか休んでいる暇がないのです。農業での時間の流れは、
秒刻み分刻みというわけではありません。週刻み月刻みと言う風にサラリーマンよりは長いスパンで時間が流れます。
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だからといって、今流行りの「スローライフ」でしょうか??定年退職された方が退職金や年
金を基礎として送る農業ライフと違い、生活のための農業、子を育てるための農業はスロー
ライフどころかこれは「ビジーライフ」なのです。仕事は山のようにあります。
植物を育て、収穫をするだけが農業ではありません。施設や機械の修理、草刈、農地改良など
も含まれます。
ただ、サラリーマンと違い上司からしぼられませんし、人間関係のストレスも激減します。ただ
し、風邪や二日酔いもしくは用事で仕事を休みます・・結構。しかしだれもあなたの穴埋めはい
たしません、自分が空けた仕事の穴は自分で埋めます。
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転勤のなくなったあなたは地域の行事にも参加しなくてはいけません。全てが自己責任であり、かなり自制心自律心が必要とされ
ます。
農業の恐さ
農業の恐さ・・・それは収入が、収穫だけである点です。収穫のため
の作業、例えば草刈り、園の掃除、潅水、樹のお世話、これらの作
業に対しては報酬は一切支払われません。むしろ電気代、燃料代、
弁当代等々の経費がかかるだけです。これはサラリーマンとは大き
な違いです。
全ては、収穫できるかどうかにかかっています。また、法人ではなく
個人経営の場合は大きな病気をして入院すると、家族の負担は一気
に増えます。
完璧なものが収穫できるその前日に、巨大な台風がやってきて全滅・・
なんてこともありうるわけで、借金がある時は大変です。
こんな時、我々は仏教を悟り忍耐力を体得することになるのです(笑)。
過去にしてきた作業の大変さや努力が無駄になるわけですから、精神衛
生上考えないようにします(笑) |
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それでも農業がいい
これまで農業は3Kの代表格のような仕事として嫌われてきましたが、これからの日本の農業を考えた時、必ずしもマイナーな産
業ではなく、やり方しだいではとても魅力のある仕事になると考えています。なぜなら人間は食べなければ生きていけないからで
す。農業がないと生きていけないのです。
今後、日本の多くの家庭の食卓を飾るのは安い輸入農産物なのかもしれません。しかし、安いだけでなく、外国の農家では真似
の絶対できない付加価値(新鮮、安全、美味しさ、体験等)を創り上げた時、農業は3Kでなく、とても楽しくなる事でしょう。
農業はハードなイメージのようですが、やはり農業は楽しいと私は思います。私なりに農業の良い点、まとめてみました。
1 自分を120パーセント出せる。(出すしかない)
2 創造的な仕事である。
3 休みはなくとも自発的に仕事するので疲れない
4 お客様に喜んでいただける
5 これからの職業である
6 農業はアートである |
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特に、自分を120パーセント出せるというのは魅力で、自分の裁量で仕事が出来ます。まるで真っ白なキャンパスに自由な絵を描
くかのようです。
また、5のこれからの職業であるという点ですが、少し説明を加えますと、今日本の食料自給率は40パーセント?くらいでしたっ
け?またその農業を支える人口は約80万人で、日本の人口の3パーセント。しかも平均年齢は64歳以上の高齢の方が50パー
セント以上を占めるのがこの産業なのです。日本の食糧はまだまだ足らないのです。
これまで農業の人口が少なかった分、販売形態は非常に画一化されていましたが(JAや市場への出荷)最近では、個人販売、グ
ループ販売(直売所等)農家レストラン、体験農場、一連のグリーンツーリズム。また、作物の宅配等様々な分野が開発されてき
つつあります。
そして、農産物の栽培方法も、様々な法人の参加で、ビニールハウスはもちろんのこと、水耕栽培に代表されるような工場で作る野
菜も出てきましたし、公共事業が激減した建設業の方々も農業に参入される場合も多少あるようです。
6の農業とはアートである・・農業経験者であればこう考えた方も少なくないのでは。農業(栽培)はアートで、農夫はアーティストで
す。
優れたアーティストは植物の話をきちんと聴くことの出来る人です。いかに知識が豊富でも、技術を持っていようと、植物の話を聴
けないと優れた芸術にはなりえません。ここが最高に難しく面白いところです。まるで教室に集められた生徒が一人ひとり違うよう
に、植物も樹々によっておのおの性格があるんです。
農家の子育て
子育てに関して言えば、農業は子供にとってとても恵まれた環境ではないかなと思います。大きな特徴は、父親が子育てに参加
できるところです。自己責任において時間に融通が効くためです。サラリーマンですと午後9時以前に、帰宅したことがない友人は
ごまんといます。子供の寝顔ばかりしか見たことがないとぼやきます。大方の農夫は、仕事をしたくても日が暮れれば仕事ができ
ません。夕食は自然に子供達と一緒。また朝も然り。
また、子供は小さいうちから土に触れ、ミミズに触れ、様々な命に触れることができます。そして、父親や母親が額に汗して働く
姿をごく自然に見ながら大きくなります。
ここからは、私の主観で申し訳ありませんが、子供に親の背中を見せられるというのが農業の最も魅力的な部分の一つであると
思うのです。私はひょっとしたら、経済的な理由で子供を大学に入学させられないかも知れません。しかし私が夢に向かってひた
走るその背中を見せることが出来れば子どもはしっかりと自分の道を歩み始めるのだと私は信じます。
最後に・・・
私の夢は農業ではありません。農業は夢を実現するためのかけがえのない手段です。私はこれまでの人生で感動したことを農業
を通して表現したいのです。それだけに、出来た農産物は一流でありたいといつも考えています。さあ、いっちょやりますか!!
これから農業を始める皆さん、皆さんは何故農業なのでしょう?しかもなぜ個人経営を選択したのでしょう?
そよ風に癒され、暴風に泣かされ、待っていた雨に救われ、集中豪雨に涙する生活です。夏の日差しに地獄を見、冬の寒さの中
でも圃場に立つそんな生活です。お客様のたった一言「おいしかった」に報われる・・そんな生活です。(綾小路きみまろ風)
農業とは生き方そのものなのかもしれませんね。
私達に与えられた土地がどうか、フィールド・オブ・ドリームスになりますように・・
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