〜サラリーマンから農業へ〜


私が農業を始めて早いもので、もう約20年になりました。(現在50歳)以前は、某所でサラリーマンをしておりました。
 毎日毎日が楽しくも結構忙しく、たまに遠足に行くと、道中の田んぼで働く農家の人の、なんとのどかでおおらかに見えた事か。


 また大地や川は、仕事で疲れた私を幾度となく癒してくれたものです。忙しい都会から眺める自然や農業は、それはそれは魅力的に見えたものです。
 そう、分刻みの毎日と組織の中で生きる都会人にとって、自然や農業は『自由』を連想させます。


 私は農家の子でしたが、小さい頃から体験してきたオヤジの手伝いは、それはそれは嫌で、苦痛以外の何ものでもありませんでした。友達と遊びたかったしね。(笑)
 そんな私が周囲の反対を押しきって農業を始めたのだから、人生って不思議です。  

 
・・・で、20年たった今の私の感想は??
 農業・・・それは自然と人間との知恵比べに明け暮れる。(笑)
 はたで見るのどかさはどこへやら。春になると雑草との戦い。葡萄の花との戦い。風から作物を守る戦い。病気との戦い。


戦い・・。と言っても、「自然」は人間のことなど眼中になく、淡々と自然を全うしているだけであり、人間が勝手に自然に翻弄されてる。そんな気がします。
 

 そんなわけで、葡萄やミカンがいい花を咲かせ、人間が計画通りに作業を進めることが出来、いい作物が取れる見こみがあるとしましょう。収穫も間近となり、「良し!」っと。
 そんな時、台風が襲ってきて、根こそぎその年の収穫をもっていかれてしまう。


 自然を前にして嘆いてても始まりません。我々は一日だけ泣くことにし、来年へと望みをつなげ、翌日から淡々といつもの仕事をこなす。何事も無かったかのように・・
  きっとそれが農業というお仕事なのでしょう。


 自然は時に牙をむき、時に私達を癒してくれます。しかし人間がそう感じているだけで自然は常にあるがまま。人間だけが不自然なような気がします。
 人間もまた自然の申し子であるならば、出来るだけ自然に振舞いたいなあ・・・ウーン難しい