葡萄の一年

これからのページは、葡萄という樹が、どのように成長し、実を結び、
一年を終わらせていくか、作業とともに、紹介していきましょう



 春   萌 芽 〜 開 花      
3月下旬〜5月中旬


 
夢農場の早春は、棚の掃除から始まります。ご覧の「巻きつる」は
葡萄のものです。昨年の葡萄の置き土産なのですが、これが実は
菌の宝庫なのです。ひとつひとつ丁寧に丁寧に取り除きます。

農薬散布だけが、菌を殺すわけではありません。こんな地道な作
業が菌の密度を減らし、減農薬に繋がるのです。
  萌 芽 

 4月の第1週から芽が出始めます。これは巨峰の萌芽。
 この時期は、実は気が抜けない「芽かぎ」作業の真っ最
中。要らない芽を取ります。
 
 この作業を怠ると、芽が出揃わず、思いっきり減収に繋がります。花見どころではないですだあ。

 
これはベニバラード。ここまで来れば春の息吹も思い切り
感じます。
 この段階からは、一気に伸びまくり、まるでジャックと豆
の樹のよう。
 早く伸びよと言いたいのですが、ここから花の時期は葡
萄農家にとって、とっても神経をすり減らす時期なのです。
 

  
 
葡萄の枝は伸びすぎてはいけないし、短すぎてもダメでどち
らでもよい実はとれません。何回も言いますが、「イイ加減」で
ないといけません。
このイイ加減が難しい!!
               
  萌 芽 

5月も中旬になると花が咲き始めます。
葡萄の実の「形」や「味」は品種でかなり違います。
なのに、この葡萄の花の香りは、大体似ています。

しかし葡萄の花の香りのなんとかぐわしいことか・・・。

花が咲き始めると葡萄農家は、タバコと同じくらいの
長さになるまで切り詰めます。でないと葡萄の実は流
れ、実がつかないのです。
右の花のようになると花切りは遅れ気味で、急がな
くてはいけません。
 
       開花期から、実どまり期は葡萄農家にとって、それはそれは戦争な日々。単純計算でも10万の花をセットしてい
      きます。
     また種無し葡萄は植物ホルモンを花に施さねばなりません。花は毎日毎日パカパカパカパカ開きます。この時期は
     ご飯炊きではないですが、赤子が泣こうが火事が起ころうが、花をセットしなくてはいけないのです。
萌 芽 

   
開花から約10日以上経ちますと。「実どまり期」となります。
 「ふうツ」と一息つくのもつかの間。
 葡萄の粒ははどんどん大きくなり、我々農家を待ちません。
 さしもの「暴走特急」なのです。



   春            萌 芽  3月下旬〜5月中旬       



 
さて、梅雨の時期、我々葡萄農家は何をしているか・・・
答えは「摘粒」(てきりゅう)作業。。雨が降ろうと矢が降
ろうとこの作業は行われます。

 
巨峰
ロザリオ・ビアンコの摘粒  
個人的にはこの作業が、葡萄の作業で一番辛いです
。巨峰などは、50〜60粒の実を30粒くらいに整形しま
す。
しかし、マニキュア・フィンガー等は、数百もの実を30〜
50粒に整形。1房で5分以上かかることもザラにありま
す。

肩は、まるでキリでぐりぐりされているようです〜。
でも作業してきた後ろを振り返ると・・・
上の写真のように、美しい光景が広がるわけです。

では、しばし、いろんな品種の実とまり後の、美しい
写真を紹介しましょう。

ロザリオ・ロッソ ロザリオ・ビアンコ
マニキュア・フィンガー ピオーネ

そうそう、この時期は小鳥さんたちが卵を温める時期。
夏になると同時に巣立ちます。



        春    萌 芽  3月下旬〜5月中旬      
 

 
やっとの思いで摘粒が終わると、次は袋かけの作業。
この袋のおかげで、病気や虫を防ぐことができます。
この袋かけも、戦争。タッタカタッタカ進めます。
袋をかけ、ビニールを剥ぎ、梅雨も明け太陽の光をさんさんと浴
びます。
いよいよ夏本番です。7月中旬にはご覧のような着色が見ら
れます。


萌 芽 3月下旬〜5月中旬
 夢農場では、7月になると「ポートランド」、8月には「巨峰」
「黄玉」が。9月になると「ピオーネ」「ロザリオ」「マニキュ
ア・フィンガー」「セキレイ」が収穫期を迎えます。
「収穫」は喜びではあるけれど、とにかく葡萄は日持ちしま
せん。喜びよりもまず出荷。
あァなんとせっかちで忙しい農業だろう・・・。
しかしこの時期には、家では色々なお客様と出会え、忙しく
も充実の日々なのです。


             春         萌 芽  3月下旬〜5月中旬                 

やっと、収穫も終わり、葡萄の樹には一房も葡萄は残っ
ていません。
実はこの風景、とても綺麗です。戦争が終わった我々に
はこの風景はずっと眺めていたい1コマ。
10月下旬から11月にかけては秋真っ盛りで、紅葉も綺
麗です。樹の皆さんはこの頃、実は深い眠りに・・・。次
年度への準備をすすめています。
このことを「休眠期」といいます。休眠になにが必要かって??

それは低温。


     春               萌 芽 3月下旬〜5月中旬                    
休眠期に必要なものは低温です。低温がある一定の
時間満たされると春への準備は完了です。

しかし、暖冬だと準備できずに、芽が不揃いだったり、
花がきちんとできなかったりします。
萌 芽 萌 芽 
 12月に入り、落葉が進むと、「剪定」作業の開始です。
剪定で半分は、実の良し悪しが決まっちゃいます。
とても重要で難しい作業。

また「誘引」といって、整理した枝を、葡萄棚に結びつける
作業もあります。
全部終わるのはなんと3月。葡萄農家は11月のみが唯一
ゆっくりできる時間なのです。